■ 国際レストランコンクール体験記 Vol.2

皆様こんにちは!

ルヴェソンヴェールの高橋です。

前回に引き続き、2018年にフランスで行われた国際レストランコンクールに出場した際の事を書いていこうと思います。

~コンクールのテーマ発表~

毎回、異なるテーマ食材や付け合わせのルールが発表されますが、2018年のテーマ食材は【サンドル・仏語名Sandre】でした。

日本では川スズキとかパイクパーチとか、時にはザンダーと呼ばれる大型の淡水魚です。

ドイツや、大会の舞台であるフランス・アルザス地方では非常にポピュラーな高級魚で、レストランのメニューにも良く登場しますし、釣りのターゲットとしても人気のある魚です。

し・か・し この魚、スズキに近い魚ですが、日本ではほとんどお目にかかる事は無く、時々極少量輸入されたものが流通しているのみなのです。

なにせこの魚、日本では特定外来生物に指定されており、生きている個体は、環境大臣の許可がない場合の移動、譲渡、飼養、放流が禁じられているやつなのです・・・

(もちろん、食材として生きていない場合は輸入可能です!)

※サンドルはこんな魚

ヨーロッパではどんなにポピュラーな食材でも、国や環境が変われば扱いは大きく変わりますね。

食材としても高価な上、ほとんど流通していないこともあり、日本で手に入れるには現地の4倍近い価格で取引されていました。

さすがに毎回の練習の度に仕入れる事は難しく、当面は代わりに日本のスズキを使って、練習をすることになりました。

(それでも、大会直前は数少ない本物のサンドルで実際に練習させていただきました。伊藤社長、さらに円居・ルヴェソンヴェール関係者の皆様、本当にありがとうございました。)

※ドイツやアルザスの市場では普通に売られています

サンドルは、一般的な白身魚より非常に脂やゼラチン質の乗った旨味の強い魚で、川魚にある臭みもほとんど感じられず、鮎のように風味のある締まった身質が特徴ではないでしょうか。

~コンクールの課題はどんなものか?~

ここで改めて発表されたコンクールの課題を簡単にご紹介いたします。

前回ご紹介した様にこのコンクールはチーム戦ですが、それぞれの役割ごとに細かいルールがありました。

シェフ(料理人)の選手には

・8名分の料理を、サンドルを使って2時間30分で用意すること

・サンドルはアンチエ(切り身にせず、一匹の姿のまま調理する事)で提供すること

・3種類の付け合わせを用意すること

◇第一付け合わせ:詰め物をしたクネル料理

◇第二付け合わせ:その場で手打ちしたヌイユ(手打ち麵料理)

◇第三付け合わせ:オリジナル料理

・全てにおいて、食材は皮をむく等、いかなる加工もされていない物を使うこと

等々、使ってはいけない食材リストなどもあり、細かく規定がありました。

この料理を、当日朝に抽選で選ばれた現地の職業訓練学校の生徒と、二人っきりで完成させなければならないのです。

※手打ちのヌイユも時間内に作らなければならない

ソムリエの選手には

・筆記試験

・口頭試問

・実技試験

・ワイン、スピリッツ、さまざまな飲み物のテイスティング試験

・チームの料理に付随したワインのサービス

・使用言語はフランス語または英語

等、とありました。

個人的には、このソムリエへの課題が最も難易度の高い試験だと思っていました。

2016年大会の視察で実際に見ていた際は、国際ソムリエコンクールを思い起こさせたからです。

そして、私のメートルドテル(サービスマン)に課せられた課題は

・筆記試験(レストラン、サービステクニック、様々な内容を含む)

・8名のゲストを想定したテーブルセッティング

・テーブル上のフラワーアレンジメントの作成

・チームの料理について口頭説明と試問

・チームの料理を8名分に切り分けサーブする事

・使用言語はフランス語または英語

とありました。

私への課題には、2016年大会を見て予想していた内容もあり、大きな驚きはありませんでしたが、一番心配な部分は筆記試験でした。

どんな内容の問題があるのか、何問あるのか、フランス語での筆記試験など、ほぼ受けたことのない自分にとっては、未知の世界です。

発表された筆記試験の内容も範囲があるようには見えますが、などの部分に感じられるように、レストランや給仕に関わる可能性のある、食・文化・歴史・観光・技術など、問われる内容は無数に想定されました。

その後、選手それぞれ各自の課題に向き合い、チームは最終段階に近づいていきます。

~現地での事前合宿~

2017年11月に予選を通過し、正式に日本代表としてフランス・ストラスブールで行われる決勝大会に出場が決まりました。

そして直前の2018年2月からは、レストランの繁忙期になるにも関わらず、道彰シェフが若い時務めていたアルザスのレストランで山口ソムリエと共に、事前合宿を行う機会をいただきました。

そのアルザスでのお話はまた、別の機会に・・・・・

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<ブログ投稿>
高橋 健太 KENTA TAKAHASHI 

2003年 辻調理師専門学校フランス校 卒業後
フランス・ローアンヌ トロワグロ勤務
2004年 帰国後 アークヒルズクラブ 入社
その後、都内のレストランで勤務
2010年 ルヴェソンヴェール東京入社

日本ソムリエ協会 認定ソムリエ
メートル・ド・セルヴィスの会 会員

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Posted by madoi